お客様から、フリーアドレス制度を導入したいというご要望はよくいただきますが、いざ導入してみると失敗・・・というケースもあるようです。
そこで、フリーアドレス制導入を成功へ導くために、フリーアドレスの歴史からメリット・デメリット、お役立ちツールについてご説明いたします。
フリーアドレスの歴史とデスクについて
従来の企業では、島型・片袖机(机の脇に引き出しが付いているもの)が主流でした。それに対してフリーアドレスは、社員の固定席を作らず、自由な席で仕事ができます。図書館の閲覧室がイメージしやすいでしょうか。席の幅も自由に決められ、複数人で空き時間に空席を共用するだけ、画期的で海外オフィスのようですが、実はこのシステムは日本生まれで、1980年代に実現しています。
固定席は確保すればするほど場所をとるので、オフィスの賃料が上がります。席につくかつかないか確実でない業務、例えば出張や外出が多い社員のために固定席をつくっても無駄ですよね?そんな部署にフリーアドレスが向いているといえます。業務効率化に糸目をつけない大企業はすでにフリーアドレスを導入しています。
フリーアドレスデスクとは?
では、今すぐこのデスクが並んだ島をフリーアドレスにしてしまおう!と言ってもそううまくはいきません。平机、袖つきデスクでは幅が決まってしまい、固定席の感覚も抜けないので、結局元に戻ってしまった、なんてことになりかねません。
対してフリーアドレスデスクは、天板と脚の組み合わせで境目が見えないくらいさりげなく、大きく作られ、中央に配線を隠せる仕様になっています。利用者数に応じてフレキシブルに席をつくることができる、まさにフリーアドレスのためのデスク。制度としてフリーアドレスを導入する際は、デスクも一新したほうが良いでしょう。
では次に、フリーアドレス導入に向けてメリットとデメリットを考えてみましょう。
フリーアドレスのメリット
スペース・コスト削減
まず言えるのはスペースが削減できる、ということです。また、固定席が無くなることによってコスト削減ができるかもしれません。
後述しますが、フリーアドレスは総席数を減らすだけでなく、個人の荷物を減らすことにもなります。着席するにも自分の荷物を持って移動することになるので、かさばる資料を減らし、ペーパーレス化をしようと社員が躍起になることでしょう。印刷コスト削減にまで一役買ってくれるということです。
コミュニケーション活性化
コミュニケーションの活性化も期待できます。
他部署の社員同士で隣の席につくと、自然にコミュニケーションが発生し、連携がとりやすくなるため業務効率改善につながります。
席から見える景色や隣の席の同僚が毎日変わるので、新鮮な気持ちで業務にとりかかれるのも良いですよね。
レイアウト変更・人員の増減に即対応
レイアウト変更が簡単なこともメリットです。
固定席では、デスクと一緒に個人の荷物も移動しますが、フリーアドレスなら大丈夫。個人の荷物はロッカーに、デスクの配置を変えるだけで済みます。デスクの配置変更は引越業者等に任せておけば安全なので、社員の負担は最小限に抑えられます。
また、ワゴンフリータイプのフリーアドレスデスクなら、急な増員があった場合も席を詰めるだけで多少席を設けることが可能です。急いで机を発注することもありません。
セキュリティ向上
フリーアドレスのおかげで、オフィス内での移動を簡単にするために、紙資料を減らすことになるでしょう。個人の荷物が減り、ペーパーレス化が進みます。資料の保管場所だった書庫を減らし、そのスペースに個人用ロッカーを設置するのが賢い選択といえます。
こちらの記事もあわせてご覧ください→フリーアドレスを導入したら必要になるロッカーについて
盗難・横流し・顧客情報流出の原因となりえる資料をデスクに放置することもなくなり、データ化された資料にはアクセス権を設定することでセキュリティが大いに向上します。
フリーアドレスデスクのデメリット
席を離れるたびに荷物を片付けることになるので、在籍率の高い部署には向いていません。例えば管理部やサポート部署など、在席率が高い部署ではオフィススペースの削減が期待できません。
50坪ほどのオフィスなら見渡すだけで確認できるので問題ありませんが、2フロアや100坪以上のオフィスになると、誰がどこにいるかわからず電話の取次ぎが難しくなったり、ちょっとした用事があるときに話しかけにいこうとしても、オフィス中を探し回る必要があります。
固定席ならば座席表を作成することで、不在時はその席にメモや資料を残せますが、フリーアドレスだと、フセンなどアナログ的なコミュニケーションは難しいでしょう。
フリーアドレスお役立ちメモ
メリット・デメリットをふまえ、フリーアドレスにおすすめな2つのシステムをご紹介します。
LINEのような、コミュニケーションツール
フリーアドレスでは、チャットでコミュニケーションをとれるツールやSNSが大活躍します。
「○○様の件、見積もりできた?」
「ランチ行こう!○時に待ち合わせで」
など、リアルよりSNSの方が饒舌になる社員もいることでしょう。これも社内コミュニケーションの活性化です。
わざわざ膝をつきあわせるような用件でもないときや、フリーアドレスがたまたま満席でせっかく座れた席を離れたくない・・・!というときにもおすすめです。
座席システムやアプリで
「いるか君2000」のようなフリーソフトもありますが、IT業界もフリーアドレスには注目しており、座席システムや伝言板、オンラインで社員の居場所を共有できるサービス、アプリなども数多く提供されています。
ツールを使えば空席もすぐに確認でき、快適にフリーアドレス制が活用されることでしょう。