オフィスレイアウトは、ただ家具を並べるという単純なものではありません。レイアウトは働く人の効率性や生産性、コミュニケーション、モチベーション、さらには企業イメージにも影響を与える重要な要素です。自社の働き方に適したレイアウトはどれか、取り入れられるアイデアやヒントを事例や手順ともにご紹介します。

オフィスレイアウト事例
代表的なオフィスレイアウトのタイプとその特徴、適している業務などを紹介いたします。
固定席レイアウト
従業員一人ひとりに固定の席が割り当てられている従来型レイアウトです。オフィスへ毎日出勤し常駐する人、管理部門系、集中が必要な執務、またデスクトップPCを使用する業務には固定席が向いています。
固定席のみの場合、自席近くでのコミュニケーションに留まりがちです。リフレッシュスペースや多目的スペースなどの設置により、他部署や席が離れている人との交流を促すことをおすすめします。
メリット | ・・・ 所有感がある、個人スペースの確保ができる、集中しやすい |
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デメリット | ・・・ 部署間の交流が限られる |
<固定席レイアウトの事例>

グリーンに木目インテリアの明るいオフィスは、少人数の島組レイアウト

1島10名~12名の席数でフリーアドレスデスクを活用した固定席レイアウト

L字型デスクにローパーテーションを組み合わせ背面になるようレイアウト
オープンレイアウト
壁や仕切りがなく、広々とした空間で全員が同じエリアで作業します。オフィス内の交流を活発にすることが主な目的です。オフィス運用としてフリーアドレスやABWを採用している企業が多く、チームワークが多い業務やコンサルティング、IT関連の業種、多様なプロジェクトを扱う企業に適しています。
時には騒音が気になることや集中が必要になることもあります。それらの問題はパーソナルブースや集中スペースを設置することで解消します。
メリット | ・・・ コミュニケーションの活性化、情報共有のしやすさ |
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デメリット | ・・・ 騒音問題が起こる |
<オープンレイアウトの事例>

ワークスペースの中央にレイアウトされたコラボレーションスペース

癒しの縁側風のスペースをフリーアドレス内のワークスペースにレイアウト

目線が変わる高さの違うフリーアドレスデスクの奥にはカフェスペースも
フリーアドレスのレイアウトとは?導入の手順と成功事例を紹介
レイアウト設計を実践するための手順解説
オフィスレイアウトはどのように作成していくのか、手順を解説します。
① オフィスのコンセプトを考える
オフィスコンセプトとはオフィスの方向性や世界観を定めるもので、オフィスを「どのような場にしたいか」という方向性を示す羅針盤となります。コンセプトは現状のオフィス課題や、今後のオフィス活用方法、社員のニーズなどにより決定していきます。
例えば以下のようなオフィスコンセプトが挙げられます。
- 従業員満足度が向上する
- 多様な働き方を可能にする
- ウェルビーイングを促進する
- サステイナビリティを重視する
- 企業ブランドイメージを表現する
これらのコンセプトがゾーニング計画や内装デザインへ影響を与えます。
② ゾーニングを計画する
ゾーニングはオフィス内の様々な空間機能を有効に発揮させるための最適な空間配置計画のことを指します。
オフィスプランを考えるとき、まずは自分たちのオフィスに必要な空間は何かを洗い出します。それらを機能や使い方別にスペースを切り分け、基本的に以下の5つに分けて考えます。
〇 受付ゾーン | ・・・ 受付、エントランスや待合スペース |
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〇 接客ゾーン | ・・・ 会議室、応接室 |
〇 執務ゾーン | ・・・ 執務用のデスクや収納庫を置くスペース、ミーティングスペース |
〇 業務支援ゾーン | ・・・ 倉庫、更衣室、リフレッシュスペース、マシンコーナー |
〇 廊下 |
このゾーン分けした空間を配置するのがゾーニングです。また使いやすく効率的に業務が回るよう、各部門と各機能スペースを関連性の強さを考慮して配置していくのもポイントになります。

機能的で使いやすいオフィスレイアウトに欠かせないゾーニングとは?
③ 動線を考える
動線とは人がオフィス内を移動する通路です。
それぞれの空間が最も効率よく利用できるよう、また家具や備品や機器などが使いやすいよう、かつ非常時には安全に避難できることを考慮しながら、どこに動線を引くかを計画します。また、それぞれの空間の利用頻度や誰が利用するのか、オフィスビルの設備などをよく把握した上で、設定することが大切です。
④ 内装や家具、デスクレイアウトを考える
各スペースの内装やオフィス家具、デスクのレイアウトを検討します。
ここでは執務スペース、会議室、リフレッシュスペース(多目的スペース)について説明します。
執務スペース
執務スペースは業務効率に直結する最も重要な場所です。レイアウトを考える際は、以下の3点を計画していきます。
1)デスクの種類と幅選び
業務や職種に適したデスクは業務効率が向上します。
まずは主なデスクの種類をご紹介します。
- ● 固定デスク
- 個人作業が多い従業員向け
- ● フリーアドレスデスク
- 移動が多い営業職やプロジェクトベースの業務向け
- ● スタンディングデスク(上下昇降デスク)
- 社員の健康促進と集中力向上に効果的
またデスクは幅800~1400mmと選択肢があります。作業スペースがどのくらい必要かによって検討します。
オフィスレイアウトの基準寸法とは デスクや通路の適切なスペース
2)デスク配置を検討する
業務効率を上げるため、どのようにデスクを配置するかも検討します。
主なレイアウト例を3つ挙げます。
- ● 対向式型レイアウト <島型・アイランド型>
- 日本で最も多く採用されているパターンで、最小のスペースでデスクが配置できます。業務中のコミュニケーションがスムーズに行えるのが特徴です。
- ● 同向式レイアウト <学校式・スクール式・並列式>
- 書類や伝票の流れ(ペーパーフロー)に合わせてデスク配置するため、銀行窓口や受付業務のある店舗に向いています。
- ● 左右対向式レイアウト <シンメトリー型>
- 隣同士のデスクを左右逆行させたデスクレイアウトは、自身の業務に集中しやすいのがメリットです。
デスク配置の基本8パターン|メリット・デメリットまとめ
3)収納を工夫する
執務スペースは業務で使用する書類のほか、社員個人の荷物などがあり、収納についても考える必要があります。書類についてはデジタル化により、収納スペースを削減できるので検討してみるのもいいでしょう。
- ● 個人収納
- サイドワゴンや引き出し、ロッカー
- ● 共有収納
- 書類や備品のキャビネット、書庫、倉庫などの保管場所
会議室
意思決定を行う、アイデアを出す、討論や意見交換する重要な役割のある会議室。
まずは会議室の使用目的を決め、広さやデスクレイアウト、内装やインテリアの方向性を定めていきます。ここではデスクレイアウトと内装をご紹介します。
会議室のデスクレイアウト3パターン
会議室のレイアウトにはパターンがいくつかあります。目的に沿った適切なレイアウトを選びましょう。よくご依頼頂く会議室のレイアウトを3パターンご紹介します。
1)対面形式
テーブルを挟み対面で着席するのが対面形式。4名~12名利用に適切な形式で、横並びとなるため対等な意識を持って討論やディスカッションがしやすいパターンです。

2)ロの字形式
長机をロの字の形に配置するのがロの字形式。適度な距離感があるため改まっての発言や意見交換のしやすいレイアウトです。

3)スクール形式
学校の教室のように全てのデスクや椅子が一定方向になっているのがスクール形式。勉強会やセミナーの利用に向いています。

会議室の内装やインテリア
使用目的に合わせて内装デザインや家具などのインテリアを考えましょう。ここではどんな空間にしたいかをもとに会議室デザイン事例をご紹介します。
CASE1:来客に信頼感や安心感を与える空間にしたい

木目のテーブルと床にブラックのセイルチェア、おしゃれな照明でモダンな雰囲気の会議室
CASE2:ポジティブな気持ちで会話したくなる場所にしたい

ピンクの壁と柄の床、まあるいフォルムのチェアで可愛いらしさのある会議室
CASE3:来客にインパクトを残せるような空間にしたい

白で統一した内装にテープライトの光が印象的な会議室
おしゃれな会議室デザイン15選
リフレッシュスペース(多目的スペース)
従業員のモチベーション向上や創造性を刺激する重要な場所であり、特に内装デザインや家具にこだわる企業が増えています。
休憩などのリフレッシュスペース(多目的スペース)を活用するためのアイデアを挙げます。
多目的利用できる空間にする
- ランチスペースとしての活用
- カジュアルなミーティングの場としても機能
- イベントやセミナーを開催するため、変更可能な可動式家具を使用
カフェテイストを取り入れる
- 居心地の良さを感じられる内装デザイン
- カウンターテーブルやソファなどくつろげる家具をレイアウト
- コーヒーマシンやウォーターサーバーを設置
リラックス要素を活用する
- 観葉植物の配置で自然を取り入れる
- 適度な遮音性で休憩できる環境に
- 自然光を取り入れるレイアウト
オフィスレイアウト図面を作成してみよう
業者にレイアウト作成を依頼する前に、簡単にオフィスをイメージしておきたい。社内でヒアリングし社員の意見を汲み取りたい。そんなとき簡易的なものであれば、図面はご自身でも作成することができます。
ただし最終的なレイアウト作成はプロへご依頼ください。オフィス空間に関連する法規として建築基準法や消防法、労働安全衛生法があり、レイアウトはこれらを絶対に守らなければなりません。またプロは実際のオフィス内を計測して作成するため、正確な計測による精度の高いレイアウト図になります。
オフィスレイアウト図面の作成方法と手順を設計のプロが解説
まとめ
オフィスレイアウトを最適化することで、自社の課題を解決、そして生産性やコミュニケーションの改善つなげていきましょう。
オフィスバスターズデザインではプロの設計士が、レイアウトを作成しています。レイアウトの見直しやオフィス移転でレイアウトをお考え中の方は、お気軽にお問い合わせください。