オフィス内装工事はオフィスのイメージや雰囲気を大きく変えます。目的や予算に合わせ、最適な工事を選ぶために知っておきたい内装工事の種類をご紹介します。
また、内装の主役!壁、床、天井工事についてさらに詳しく解説します。
オフィス内装工事の種類
オフィスの内装工事には大きく分けて以下の7種類があります。オフィスの環境や設計プランに沿って必要な工事を組み合わせます。
① 建築工事 | 壁、床、天井の施工など、空間を作り上げるための内装工事 |
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② 照明・電気設備工事 | 天井の照明追加、デスクや会議室のOAタップ電源など配線工事、部屋の照明スイッチ追加工事 |
③ 空調設備工事 | エアコンや換気などの空調設備、排煙設備や配管、ダクト工事 |
④ 衛生設備工事 | トイレ設備の改修や新設、洗面台や給湯設備、飲料水供給のための水道管の修理や交換、浄水器の設置 |
⑤ 防災設備工事 | スプリンクラーなどの消火設備、消火器、火災報知器や誘導灯、非常放送設備の設置工事 |
⑥ 弱電(電話・LAN)工事 | 電話やLANケーブルの配線工事 |
⑦ セキュリティ工事 | カードキーや顔認証のほか、スマートフォン認証で外部からの侵入を防ぐセキュリティ錠の工事 |
①の建築工事は、オフィスのイメージを大きく左右する、内観にまつわる工事です。後ほど詳しく解説していきます。
②~⑦はオフィスの縁の下の力持ち、設備にまつわる工事です。配線や配管は通常、床下や壁・天井の裏を這わせるため、目にすることはない部分ですが、オフィスの機能に関わる重要な工事です。①の建築工事と密接に絡むため、施工の順番やスケジュールの調整が必要になります。
内装の主役! 壁、床、天井工事
①の建築工事は、壁・床・天井・造作の4つの工事に分類されます。
壁工事
一般的な賃貸オフィスビルの場合、壁など間仕切りの無い状態で貸出されます。会議室などの個室を作る工事や、エントランスと執務室を仕切るために壁工事が必要になります。間仕切り工事、パーティション工事、造作壁工事とも呼ばれます。
天井には照明やエアコンの吹き出し口があり、パーテーションがふさいでしまう場合は、器具や機器の移設を行う、またはパーテーション自体の設置場所を見直さなければなりません。しっかりと現地計測と設備調査を行ったうえで、レイアウト図面の作成と、間仕切り計画を行うことが重要です。
部屋の設置
会議室や倉庫などの部屋をつくるために壁工事が行われます。その壁材には複数種類があります。壁材や工法によりさまざまな防音・遮音対策ができますので、空間の利用目的に応じて適切なものを選びます。
例えば、以下のような選択があります。
● アルミパーティション
遮音レベルはあまり気にしないので、安価に間仕切りを立てたい
利用目的⇒ 倉庫、更衣室、サーバールーム
● スチールパーティション、造作壁
遮音レベルを上げ、かつ見た目に高級感を持たせたい
利用目的⇒ 会議室、応接室
遮音レベルをより上げたい場合は、スチールパーティションや造作壁の中に遮音材を含める、造作壁であれば壁を厚く作り込むなどの工法もあります。
エントランスの演出
『オフィスの顔』であるエントランスは、来客のみならず社員も多く目にする場所。壁に装飾や造作を加えることで、大きく雰囲気を変えることが出来ます。
コーポレートカラーで企業イメージをアピールしたり、レンガ調のブロックで暖かみを表現したり、また湾曲した壁を造作し印象的なエントランスにするなど、コーディネートは自由自在です。
床工事
一般的な賃貸オフィスビルの床は、タイルカーペットの状態がほとんどです。
そのまま運用することも可能ですが、全面地味な色身のタイルカーペットでは暗い印象のオフィスになりがち。
床材にも様々な種類があります。それぞれ特徴にあった計画をしましょう。
● タイルカーペット
タイルカーペットとは1辺が40〜50cm程の正方形のカーペットで1枚ずつ敷いていくタイプのものです。色、模様、素材感などたくさんの種類があり、組み合わせ次第でさまざまな演出が可能、加工のしやすさもメリットになります。
● フロアタイル
木目調や大理石調のフロアタイルで一気にオフィスが明るくなります。エントランスエリアや休憩室、リフレッシュスペースに部分的に採用するのもおすすめ。
耐久性に優れていて、掃除のしやすさもメリット。しかし「足音が響く」という声もあり、そこがデメリットになる場合も。
最近では、極力壁を作らず、圧迫感の少ないタイプのオフィスが人気ですが、床を貼り分けることで視覚的にエリア分けすることも可能です。
天井工事
一般的なオフィスビルの天井は、塗装やクロス、システム天井など種類は様々。
無関心になってしまいがちな天井ですが、ここにも内装を加えることでより一層空間の作り込みが出来ます。
照明器具の変更
オフィスの照明は昼白色と呼ばれる白っぽい光が殆どですが、例えば会議室やエントランスなど、少し柔らかい雰囲気を出したいところは、暖色(オレンジ系)系の色味の照明器具に変更することで暖かさを演出できます。
内装材はそのまま照明器具だけの変更であれば、あまり予算をかけず出来るところもおすすめポイントです。
スケルトン天井
天井をスケルトンにするのもお洒落です。スケルトンとは、天井材が施工されていない、躯体部分(コンクリートや配管など)がむき出しの状態にあることを指します。街中のお洒落なカフェやショールーム、美容室等で採用されており、目にする機会も多くなったかと思います。
解体費用はかかりますが、天井が高くなることで解放感が生まれ、より居室内を広く見せられるメリットがあります。塗装などで色をつけられますので、オフィス内装の雰囲気に合わせて色を選ぶことも可能です。
造作工事
希望する商品が既製品で見つからない場合、ゼロから作り出すのが造作工事です。少しこだわったご要望は、造作工事で作り出すことが可能です。
内装工事成功のポイント:失敗しない為には何が必要?
コンセプトを明確に
まずはオフィスの『コンセプト』を決めましょう。
内装は、計画段階では完成が目に見えないものです。業者との打ち合わせを重ね、互いのイメージを擦り合わせながら作り上げるものなので、軸となるコンセプトを早い段階で決めておくことが成功のポイントです。
例として、『採用に力を入れる為、明るい印象のオフィスを作りたい』というコンセプトであれば、
- 内装材は明るめの木目やホワイト系
- 壁面にガラスを採用する
などのアイディアを導き出すことができます。
ここでダークカラーの内装材を選んでしまうと、重厚感のある落ち着いた印象となり、コンセプトとはズレた仕上がりになってしまいます。
早い段階で業者とコンセプトを擦り合わせ、理想のオフィスに沿った提案を受けられると、その後もイメージの相違が無くスムーズにプロジェクトを進めていくことができます。限られた時間の中で有効的な提案を受けられるよう、コンセプトを明確にしておきましょう。
ワンストップ対応の業者を選ぶ
オフィス移転の場合、設計から各種工事、什器手配、移転作業までをワンストップで対応してくれる業者を選ぶこと。
なぜワンストップ対応の業者が良いのか?業者選定のポイントは?
ぜひこちらの記事もあわせてお読み下さい。
工程管理をしっかり行う
業者からオフィスプランの提案を受ける際、レイアウト図面や見積書と一緒に工程表も提示してもらいます。
工程表とは、プロジェクト開始から営業開始日までの全体を記載したスケジュール表のことで、プロジェクト進行においてとても重要なものです。
(レイアウト図面、内装材確定、お見積費用の確定)
(建築工事、各種設備工事)
走り出しの段階で工程表を作成しておくことにより、『いつまでに何をすべきか』を明確にするこができます。
工程表が無いままプロジェクトが進行してしまうと、現状が把握できず工事に遅れが出ていても気付けなかったり、最悪の場合は希望の納期に間に合わないという事態が発生する恐れもあります。
そうならないためにも、早い段階で業者と打ち合わせ、工程表を作成してもらうことが成功のポイントです。
まとめ
新しいオフィスに必要な内装工事にどのような種類があるのかイメージしていただけたでしょうか。内装工事は一人で進めるものではなく、社内及び業者との連携が必要となります。プロジェクトメンバーと常に同じ方向性を共有し、コンセプトや目的、予算に合わせ、最適な工事を選んでください。