「オフィス移転の費用って、結局いくらかかるの?」
多くの総務担当者や経営者がこの疑問を抱えています。実際、40名規模の企業が90坪から120坪に移転する場合、約4,500万円(旧オフィス保証金返還後)もの費用が発生するケースがあります。本記事では、オフィス移転にかかる費用の全体像から、具体的な削減方法までを解説します。
いつ・いくら必要?オフィス移転フローで解説
オフィス移転の費用はさまざまな項目があります。移転先オフィスの賃貸借契約、入居時の内装・設備工事、引越し、名刺の再印刷や案内状、現オフィスの退去にともなう費用など、オフィス移転のフローと費用発生のタイミングをまとめると、このようになります。ピンクの部分が費用発生のタイミングとなり、概算を明記しています。
【内訳別】オフィス移転費用の相場一覧
オフィス移転の費用は大きく3つに分類されます。
敷金などの賃貸借契約にかかる初期費用、オフィス内装・家具・通信ネットワーク整備などの入居工事費。費用の大部分を占める。
② 旧オフィス退去のための費用
現在使用しているオフィスを退去するための原状回復工事費など。
③ 引越しや住所変更にともなう諸費用
引越し費用、名刺・パンフレットの再作成費、住所変更にともなう届出手続きの諸費用など。
移転費用は企業規模や新オフィスの広さ、地域や季節、賃貸オフィスの契約内容などにより違いがあります。以下はそれぞれの費用の目安となる相場の一覧です。
①新オフィス構築費用
●オフィス物件取得費
内訳 | 相場(目安) | 詳細 |
---|---|---|
保証金・敷金 | 賃料6~12ヶ月分 | 債務保証担保として貸主に預け入れる預託金 |
礼金 | 賃料1~2ヶ月分 | 貸主に支払う慣例的なお礼金(設定のない場合も) |
前払い賃料 | 賃料1~2ヶ月分 | 入居前にあらかじめ支払う家賃 |
保証委託金 | 賃料および共益費の1ヶ月分 | 保証会社加入のための費用(設定のない場合も) |
仲介手数料 | 賃料1ヶ月分 | 不動産仲介業者への手数料、業者により異なる |
●入居関連工事
内訳 | 相場(目安) | 詳細 |
---|---|---|
レイアウト・内装工事 | 5~30万/坪 | レイアウトや内装のこだわりにより幅が出る |
IT通信ネットワーク工事 | 5~35万/坪 | 電気・空調・防災・通信ネットワーク・電話や配線など、必要に応じて差がある |
オフィス家具購入 | 5~30万/人 | オフィス什器のグレードにより幅が出る |
②旧オフィス退去費用
●退去にかかる費用
内訳 | 相場(目安) | 詳細 |
---|---|---|
原状回復工事 | 5~10万円/坪 | 借りた時点と同じ状態に戻す工事 |
不用品処分費用 | ・廃棄物処理費100円/kg ・搬出車両費 (トラック1台3~4万) |
不要になったオフィス家具などを処分する費用 |
旧オフィス賃料 | 賃料1~2ヶ月分 | 引越し後に原状回復工事を経て、解約日までの家賃 |
●オフィス退去後に返還される費用
内訳 | 相場(目安) |
---|---|
旧オフィスの契約時に預け入れた保証金・敷金など、初期費用の一部返還 | 保証金の10~20%、または敷金の場合は賃料の1~2ヶ月分を差し引いた金額 |
③引越しやその他諸費用
内訳 | 相場(目安) | 詳細 |
---|---|---|
引越し費用 | 2~5万円/1人 | オフィス家具やPC機器などの運搬、搬入費 |
移転案内・印刷物の再印刷 | 1万円/1人 | 郵送での移転案内や名刺、会社案内、封筒作成費 |
住所変更に伴う届出手続き | 10万円/一式 | ― |
移転を機に、PCやサーバー、複合機、ITネットワークの強化に伴う機器、セキュリティ関連機器などの新規購入を考えている場合は、追加費用として予算に加えておきましょう。
見落としがちな注意点について
オフィス移転の費用や確認すべきことの中で、見落としがちな注意点をまとめてみました。
賃料の二重払いの発生
通常、新オフィスの賃貸開始後からオフィス賃料は発生します。しかし、入居はすぐにできるわけではありません。オフィスとして使用できるよう入居工事を行う必要があります。この間は、旧オフィスで業務をすることになります。逆に、移転日を迎え退去した旧オフィスも、すぐに解約ともいきません。入居した時の状態に戻す原状回復工事が完了したのちに解約となります。
なので、約2~5カ月の期間、新オフィスと旧オフィスの賃料を二重払いする必要があります。念頭においておきましょう。
現オフィスの解約予告期間の確認
オフィス移転を検討しはじめたら、まず行って欲しいのが今のオフィスの解約予告期間について確認することです。解約予告期間とは、入居オフィスの退去日から起算して解約することを貸主(オーナー)へ通知しなければならない期間のことです。オフィスビルの場合は通常3~6カ月前となります。
オフィス入居時に締結した賃貸借契約書に記載されているので、いつまでに解約の申出を行う必要があるのかを確認しましょう。あわせて解約に関する違約金についても記載があるかを確認するといいでしょう。
旧オフィスの保証金・敷金返還のタイミング
旧オフィスの保証金・敷金が戻る時期は移転後、原状回復工事が完了し、光熱費などの経費精算が終了した後になります。よって、返還される費用を新オフィスの契約締結時に支払う保証金・敷金へ流用することはタイミング的にできませんのでご注意ください。
返還される旧オフィスの保証金・敷金は、解約精算時に無条件に差し引かれる償却費(関西では「敷引き」)や、ビルオーナーが指定した原状回復工事業者がいる場合はその費用が差し引かれたものになります。償却費の目安は保証金の10~20%、敷金の場合は賃料の1~2ヶ月分となります。
お客様の費用例
オフィス移転の費用が実際いくらくらいかかるのか。お客様の亊例を紹介いたします。
●お客様データ | |
エリア | : 東京23区内 |
---|---|
事業内容 | : 事業内容アプリ開発 |
社員数 | : 40名 |
広さ | : 90坪 → 120坪への移転 |
月額家賃 | : 144万円 → 200万円 |
① 新オフィス物件取得費 | ||||
保証金・敷金 | 2,000,000/月 | × 8ヶ月 | = ¥ | 16,000,000 |
礼金 | 2,000,000/月 | × 2ヶ月 | = ¥ | 4,000,000 |
前払い賃料 | 2,000,000/月 | × 2ヶ月 | = ¥ | 4,000,000 |
保証委託料 | 2,000,000/月 | × 1ヶ月 | = ¥ | 2,000,000 |
仲介手数料 | 2,000,000/月 | × 1ヶ月 | = ¥ | 2,000,000 |
① 小計 ¥ 28,000,000 | ||||
② 入居関連工事 | ||||
レイアウト・内装工事 | 100,000/坪 | × 120坪 | = ¥ | 12,000,000 |
IT通信ネットワーク工事 | 60,000/坪 | × 120坪 | = ¥ | 7,200,000 |
オフィス家具購入 | 50,000/人 | × 40名 | = ¥ | 2,000,000 |
② 小計 ¥ 21,200,000 | ||||
③ 旧オフィス退去費用 | ||||
原状回復工事 | 50,000/坪 | × 90坪 | = ¥ | 4,500,000 |
不用品処分費 | 200,000/回 | × 1式 | = ¥ | 200,000 |
引渡しまでのオフィス賃料 | 1,440,000/月 | × 1.5ヶ月 | = ¥ | 2,160,000 |
③ 小計 ¥ 6,860,000 | ||||
④ 引越しやその他諸費用 | ||||
引越し費用 | 25,000/人 | × 40名 | = ¥ | 1,000,000 |
移転案内・印刷物の再印刷 | 10,000/人 | × 40名 | = ¥ | 400,000 |
住所変更に伴う届出手続き | 100,000/回 | × 1式 | = ¥ | 100,000 |
④ 小計 ¥ 1,500,000 | ||||
移転プロジェクト全体の概算費用 | ||||
①②③④合計 ¥ 57,560,000 | ||||
⑤ 旧オフィス保証金の一部返還費用 | ||||
家賃10ヶ月分の保証金から10%を引いた額 | ||||
× 1式 | = ¥ | 12,960,000 | ||
⑤ 小計 ¥ ▲ 12,960,000 | ||||
今のオフィス退去後の保証金返還を含めた概算費用 | ||||
(①②③④)- ⑤ ¥ 44,600,000 |
こちらのお客様の事例では、 社員40名、90坪から120坪への拡張移転で、工事期間中のオフィス賃料も含めて、約5,800万円もの費用が発生しました。返還される予定の旧オフィスの保証金を差し引いても約4,500 万円。オフィス移転は非常に大きな金額が動くということがおわかりいただけるかと思います。そこで、少しでも費用を抑えるコツを次章で3つ紹介します。
効果的な移転費用コスト削減の3つの戦略
●入居工事の什器や内装グレードを検討
やはり費用削減をするのであれば入居工事費用の検討です。エントランスの内装デザインや業務スペースの通信環境設備のような、重要性の高い部分にはしっかりと費用をかけ、バックオフィスで利用するデスクやチェアの備品関連についてはコスト削減を行うなど、バランスを見て費用調整することがポイントです。
弊社、オフィスバスターズでは、国産のハイグレードメーカー(オカムラ、コクヨ、イトーキ、内田洋行等)の中古商品が新品定価の約60~80%オフで提供可能です。さらに、他社から高額な内装費用を提示されている場合も、弊社なら必要に応じた内装材に変更するなどの工夫をし、大幅なコストダウンの提案ができる可能性があります。
●入居工事やオフィス施工の一括発注
入居に際し、別々の業者に個別に工事依頼を行うと、時間も諸経費もそれぞれにかかってしまいます。なので、広範囲にワンストップ対応可能な業者を選定頂くことがお勧めです。依頼項目が多くなればなるほど、全体金額からの値引き交渉をしやすくなるのも、コスト削減につながる重要なポイントになります。
●居抜きでの退去ができるか確認
居抜きとはテナントが使用していた内装、備品が残っている状態のことを言います。大手不動産会社所有のビルの場合は難しいですが、個人オーナー所有のビルであれば居抜きで退去できる可能性があります。退去後に入居予定のテナント及びオーナー側との事前交渉が成立すれば、原状回復工事費用を削減できることになります。現状のオフィスの内装グレードによっては許可をもらえることがありますので、一度相談をしてみる価値はあるでしょう。
まとめ:成功する移転のために
非常に大きな金額が動くオフィス移転。適切な予算配分と効果的なコスト削減はオフィス移転成功のカギとなります。ただし、働く社員のモチベーションや生産性に直結する投資は惜しまず、メリハリのある予算配分を心がけましょう。
1. 早期の計画立案(6ヶ月~1年前を推奨)
2. 費用項目の詳細な洗い出し
3. 削減可能項目の見極め
4. 専門業者への相談・連携
オフィスバスターズでは、オフィス移転の専門業者として多様な選択肢でお客様のニーズを実現することができます。オフィス移転をお考えの際は、ぜひご相談ください。