オフィス移転やレイアウト変更において、天井までの間仕切り・パーテーションの設置は欠かせない要素です。会議室やエントランス、倉庫や休憩室などのバックヤードなど、オフィスのあらゆる場所で活用されています。
本記事では、施工型の間仕切り・パーテーションの基礎知識を解説し、目的に応じた最適な空間づくりを実現するためのポイントをご紹介します。

間仕切り・パーテーションの種類と特徴
オフィスでよく採用される、天井までの間仕切り・パーテーション5種類をご紹介します。
① 造作壁(LGS壁)
軽量形鋼(LGS)と呼ばれる金属製の下地に石膏ボードを貼り付けた壁です。完全オーダーメイドのため、さまざまな形状やサイズに対応でき、塗装、壁紙、木材、石材やタイル仕上げなど自由なデザインが可能です。同一オフィス内での移設はできますが、オフィス移転での新たなオフィスへの移設はできない点がデメリットとなります。


② スチールパーテーション
パネルの表面がスチール、裏面が石膏ボードの2枚構造で構成されているパーテーションです。パネルの支柱が内側に収納できるため、美しく平らな表面の仕上がります。上からクロスやシートを貼りることで、デザイン性や意匠性を高めることも可能です。耐久性や耐火性、遮音性に優れ、天井高によっては移設もできます。


③ ガラスパーテーション
パネルがガラス素材のパーテーションです。開放感を保ちながら空間に独立性を持たせることができます。機密性を確保するために半透明のすりガラスを使用したり、耐久性に優れた強化ガラスを選択したりすることが可能です。防音性を高めるために、2枚構造のダブルガラスという選択肢もあります。


④ アルミパーテーション
アルミ素材で作られた支柱にスチール素材などのパネルをはめ込んだ1枚構造のパーテーション。コストが低く施工期間が短いため、限られた時間と予算での施工が可能です。一方、遮音性や防火性の低さがデメリットとなります。


⑤ スライディングウォール
天井レールに沿って移動可能なパーテーションです。必要に応じて設置・収納ができるため、空間を可変的に利用できるメリットがあります。素材もさまざまで、アクリル樹脂、スチール、アルミ、ガラス製から選択できます。

参考費用例つき! 間仕切りパーテーションまるわかり比較表
機能性とコストのバランスで選ぶならスチールパーテーションがおすすめです。
意匠性やデザイン性を重視するなら、造作壁(LGS壁)またはガラスパーテーションが適しています。
造作壁(LGS壁) | スチールパーテーション | ガラスパーテーション | アルミパーテーション | |
---|---|---|---|---|
利用シーン例 | エントランス | 会議室、執務室、役員室 | 会議室、執務室、役員室 | 執務エリア、倉庫 |
意匠性、デザイン性 | ◎ | ◯ | ◎ | △ |
遮音性 ※1 | △ ~ ◎ | △ ~ ◯ | △ ~ ◯ | × |
価格 ※2 | 高い | 標準 | 高い | 安い |
参考費用例 ※3 | 60万円 前後 | 50万円 前後 | 60万円 前後 | 40万円 前後 |
工期 ※4 | 1~2週間前後 | 2日~1週間前後 | 2日~1週間前後 | 1~2日前後 |
※2 材料のみの当社比
※3 L字の8名用会議室1室作成の場合
※4 レイアウト設計期間や資材調達期間を除く
間仕切り・パーテーションの設置で注意すること3点
遮音性能を確認する
間仕切り・パーテーションの設置目的の一つに、音漏れの防止があります。
音源からの音を壁で遮ることで、パーテーションには音を遮る能力が求められます。

スチールパーテーション | 約33dB |
---|---|
ガラスパーテーション | 約31dB |
アルミパーテーション | 約21dB |
dB | 音の目安 |
---|---|
90 | 騒がしい工場、どなり声 |
80 | 電車の車内 |
70 | 騒々しいオフィス、掃除機音 |
60 | 普通の会話の声、テレビ音 |
50 | 静かなオフィス |
40 | 図書館 |
30 | 小声、ささやき声 |
20 | 木の葉のふれあう音、ほぼ聞こえない |
標準パーテーションの遮音性の目安です。施工条件やパネル、素材により異なります。
さらに遮音をしたい場合の施工方法として、以下が挙げられます。
▽スチールパーテーション
パネルの内側にロックウールやグラスウールを充填する
▽ガラスパーテーション
ダブルガラスの2枚構造パネルを採用する
空間の使用目的や遮音レベルに合わせ、適切なパネルや素材、施工方法を選択しましょう。
天井の設備を確認する
オフィスの天井にはあらかじめ設置された設備があります。エアコンなどの空調設備、煙感知器やスプリンクラーなどの防災設備、照明などです。パーテーションを設置したい場所にこれらの設備がある場合は、設置場所の見直しや設備の移設が必要になります。
天井設備の移設による追加工事を避けるため、パーテーションの天井部分が開いている「ランマオープン」タイプのパーテーションを選択する方法もあります。
オフィスバスターズデザインでは、無駄な工事を極力避けるため、現地調査を経てレイアウト設計を行いご提案しております。
パーテーション工事には大きな音が発生する
間仕切り・パーテーションの設置には天井や床に穴を開けるため大きな音が発生します。ビルによって施工日は土日のみに制限される場合もあります。パーテーションの設置を検討する際は、工期を少し長めに想定して業者へ依頼することをおすすめします。
間仕切り・パーテーションの導入手順
天井までの間仕切りは、一度設置をすると移設や解体が容易ではありません。「こんな場所に設置しなければよかった」と後悔しないよう、導入手順と選び方のポイントを紹介します。
① 設置する目的の明確化
間仕切り・パーテーションを設置する目的を明確にします。空間の独立性確保、セキュリティ対策、防音対策などが主な目的として挙げられます。さらに、独立させた空間をどのように使用するかによって、遮音性が必要か、デザイン性を重視するかなど、パーテーションの素材や工法が異なります。最適なパーテーションを選ぶために、新しく作る空間の使用目的を確認しましょう。
② レイアウト設計・オフィスデザイン
目的を達成できるよう、オフィスレイアウトに間仕切り・パーテーションを組み込みます。オフィスの現地調査を行い、天井設備を確認してくれる業者を選ぶとよいでしょう。素材や種類を選定した上で、図面に落とし込みます。パーテーション設置後のオフィス動線にも問題がないか、総合的に判断できるプロの設計士に依頼すると安心です。
ガラスパーテーションやデザイン性の高い造作壁を設置する場合は、平面図だけでなく、目線の高さのパースなどでオフィスデザインも提案してもらいましょう。

③ 間仕切り・パーテーション設置工事の実施
業者からレイアウトと見積を受け取り、契約を完了したら設置の準備が始まります。業者は資材の調達を開始し、お客様やテナント、ビル管理会社と工事日の調整を行います。大きな音が発生する場合は、ビルの規則に従って日時を調整します。
当日はパーテーション設置の職人に加え、部屋内に電気スイッチを追加する場合は電気工事業者が入ることもあります。
業者による設置完了後は、お客様ご自身の目で最終チェック・検査を行っていただきます。
まとめ
間仕切りやパーテーションの基本的なことを押さえ、目的に応じた最適な空間づくりを実現しましょう。
オフィスバスターズデザインでは間仕切りやパーテーションの工事をはじめとする、オフィス内装工事をワンストップサービスで提供しております。お気軽にご相談ください。