オフィスの内装工事は、壁や床、天井などに内装を施し、オフィスとして利用できるようにするための工事です。ここではオフィスづくりの基礎知識として内装工事の種類や、全体の流れをご紹介します。
あわせてスムーズにオフィス内装工事を行うため、ご自身で行って欲しいことや注意点も解説します。
内装工事の種類
オフィスの内装工事は、大きく分けて7種類あります。これらの工事を組み合わせてオフィス空間を作り上げていきます。
- 建築工事
- 間仕切工事(LGS壁、各種パーティション)
- 建具工事
- 内装仕上工事(床、壁、天井)
- 造作家具工事
- 照明・電気設備工事
- 空調設備工事
- 衛生設備工事
- 防災設備工事
- 弱電(電話・LAN)工事
- セキュリティ工事
内装工事の主役である床、壁、天井工事について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
ビルの工事区分について
工事の種類とは別に、ビルには工事区分が存在します。
オーナーがあらかじめ取り決めを行っており、工事区分表に記載されています。お手元にない場合は、移転先のビルであれば仲介業者へ、入居中のビルであればビル管理会社へ問い合わせれば取得できます。
工事の種類によってA~C工事に分類され、それぞれの工事区分は施工業者と費用負担者に違いがあります。オフィス内装工事を計画している場合、まずは工事区分表を手に入れ費用負担やオフィスを返却するときの条件などを確認しましょう。
工事区分 | 施工業者 | 費用負担 |
---|---|---|
A工事 | オーナーが指定した業者で工事を行う | オーナーが負担 |
B工事 | オーナーが指定した業者で工事を行う | 借主が負担 |
C工事 | 借主が指定した業者で工事を行う | 借主が負担 |
オフィス内装工事の流れ 5つのステップ
【ステップ 1 】内装工事のゴールと予算・スケジュールの設定をしよう
まずは内装工事を行うゴールをしっかり確認しましょう。
内装工事の目的は会社によりさまざまです。入居のため最小限に必要という場合から、社員のモチベーションを上げたい、企業イメージを表現したいなどが挙げられます。
どうして工事を行うのか、工事後のオフィスで何を実現したいのか、目的を明確にします。この軸がブレてしまうと、工事が思うようにいかなかった、完成後に思ったようなオフィスにならなかった、ということも。
ゴール設定のあと、コンセプトを決めておくこともおすすめします。デザインやレイアウト、設備や機能などはこのコンセプトに沿って決めていきます。「事業内容とリンクしインパクトを与えるオフィス」「カフェのようにくつろげるオフィス」など、どんなオフィスがいいか、ぜひ社内で話し合ってみてください。コンセプトについてはコラム後半でもご紹介します。
【ステップ 2 】オフィス内装工事の業者へ相談をしよう
内装工事を請負う業者を、いくつかピックアップし問合せを入れます。インターネットやSNSなどでサービス内容を確認の上、施工事例があれば仕上りイメージに近い業者がいいでしょう。
各工事の専門業者
設計業者、内装工事業者、電気工事の業者など、それぞれの専門業者です。
オフィスの内装工事は複数の業者が関わることが多いため、各専門業者とのやりとりやスケジュール調整が必要となります。通常業務に加えての作業負担となるため、比較的時間に余裕がある方に向いています。
ワンストップサービスの業者
設計から工事まで全てをワンストップで対応する業者です。
内装や設備の工事区分がC工事に該当する場合は、コストコントロールやスケジュール調整のしやすいワンストップサービスの業者へ依頼するほうがご自身の負担が軽減されます。
PM(プロジェクトマネジメント)業者
設計とプロジェクトマネジメントを担当するのがPM業者です。
PM業者が内装や設備を担当する工事業者を選定します。PM業者への支払費用が発生するものの、規模の大きなテナントビルの場合、内装や設備の工事区分がB工事に該当することが多いため、ビルとの折衝に長けているPM業者へ依頼するメリットがあります。
専門業者 | ワンストップ業者 | PM業者 | |
---|---|---|---|
メリット |
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デメリット |
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内装工事の工事区分やご自身の状況に合わせて、適切な業者に相談しましょう。
【ステップ 3 】内装のデザインやオフィスレイアウトを決めよう
オフィスレイアウトの設計には、建築基準法や消防法などの法律が関係してきます。
知らずに法規が守られていないレイアウトを作成してしまうと、ビル側や消防署から工事許可が下りないことがあります。必ずオフィスレイアウトの専門家に相談してください。
ステップ1で決めた目的、予算、コンセプトなどを業者に伝え、オフィスレイアウトやデザインを決めていきます。一度でレイアウトの書かれたオフィス図面がバシッと決まることはほぼありません。何度か打合せを重ねて、目的が達成できる図面に仕上げてもらいます。
内装のデザインについては「かっこいい」などの抽象的な言葉だけでなく、イメージに近いオフィスの写真などを用意しておくと、スムーズに進められるため、おすすめです。
【ステップ 4 】契約する業者を選定しよう
オフィスレイアウトや内装デザインの調整を行いつつ、同時に見積りを取得します。業者選びに大切なのは見積金額だけでなく、工事スケジュールや工事内容、担当営業の対応やプロジェクト体制です。十分に比較と検討を行った上で、目的を果たしてくれる業者を選び、契約に進みます。
工事区分のB工事が多い場合は、見積取得までに時間がかかることがありますので、プロジェクト全体スケジュールの中で見積取得及び交渉の期間は長めに取っておくことをおすすめします。
【ステップ 5 】内装工事開始、いよいよ新オフィスの完成!
業者と契約を交わすと、工事が始まります。
オフィスビルに入居する場合、音または臭いの出る工事や大型の搬入作業は土・日・祝日の日中や、夜間の時間帯に限定されることが多くあります。そのため工期としては1~1ヶ月半程度かかることが一般的です。
工事開始後は基本的に業者に任せることになりますが、決してほったらかしにしないように。施工中も注文通りに仕上がっているか、設計図との相違はないか、業者と一緒にチェックを入れることで、後からトラブルになることを防げます。
中間検査や竣工検査は、必ずご自身の目で行ってください。
無事に竣工検査が終わりましたら、新しいオフィスの完成です!
オフィス内装工事を成功に導くポイント
オフィス内装はコンセプトが大切
コンセプトとは「概念」や「発想」の意味を持ち、オフィス内装のデザインやレイアウト設計において基本の指針となります。
コンセプトに沿って空間を創り上げていくことで、空間に一貫性を持たせ、企業の風土や文化、アイデンティティを体現することができます。
更に言えば何に注力していくのか、何を実現するのか、経営計画の具現化ともなり、オフィス自体が経営陣から社員へのメッセージにもなるのです。
「新しいオフィスはどんな場所にしたいですか?」
社内でしっかり話し合い、オフィスのコンセプトを決めてください。
オフィス内装業者は成功に導くナビゲーター
オフィス移転はそう頻繁にあるわけでもないので、総務部の方でも仕切った経験者は少ないと思います。
オフィス内装工事もまた、さまざまな法規やビル規則、建築業界の慣習などが絡みあっていて、経験ゼロからプロジェクトを成功させるのは非常に困難なものです。
オフィス内装業者は、当然ですがオフィス内装業界のプロです。ぜひ業者をナビゲーターとして頼ってください。そうです、頼る前提で業者選定を行うべきです。
業者選定は、なにも物件が決まらないと出来ないわけではありません。中には検討中の物件に対して、簡易的にレイアウトを組んでくれる業者もいますので、ぜひ活用してみてください。
オフィス内装工事の予算を抑えるコツ
予算をかける優先順位を決める
どこに予算をかけるべきなのか、優先順位を決めましょう。
たとえば、会議室を密閉するかどうか。密閉すれば防音性能は上がりますが、空調設備や防災設備を導入する必要がありますので、費用は確実に上がります。
予算を抑えるには、天井の開いているランマオープンのパーテーション設置を。防音性は下がりますが、追加設備が不要なケースが多いため、費用をおさえることができるかもしれません。
もう一つ例として、あまり費用はかけられないけど、少しおしゃれな雰囲気にしたい方におすすめしているのが部分的な内装工事です。人気の壁クロス貼り工事は、壁の四方全部に貼るのではなく、一面だけ装い変えるだけでもデザインの意匠性を上げる効果があります。
目的に合わせ、予算に優先順位をつけながら、内装工事の詳細を決めてください。
無理のないスケジュールを立てる
工程は余裕をもってスケジュールしたほうが、費用が抑えられます。
例えば、2日かければ2人×2日=延べ4人で終わる工事が、1日で終わらせようとすると6人必要になることがあります。
短い期間で仕上げようとすると、その分の人件費が高くなるのです。また職人さんも日中より夜間の方が人件費はかかりますので、夜間作業が発生すると割高になります。
まとめ
オフィスを新しく作り込むということは、企業にとって数年に一度の大イベントです。おそらくは最低でも2~3年もしくはそれ以上の期間をそのオフィスで過ごすことになります。オフィス内装工事を成功させて、社員がいきいきと働ける空間を作りましょう。
最後に、ご自身で行って欲しいこと3つまとめておきます。
- オフィス内装の目的と予算、コンセプトを決める
- ビル工事区分を確認し、ナビゲーターとして頼れる業者を選ぶ
- 内装工事中の中間検査、最終チェックである竣工検査に立ち合う
これでスムーズにオフィス内装工事がすすむこと、間違いありません。
オフィスバスターズデザインはオフィス内装工事や事務所移転をワンストップサービスで提供しております。慣れない移転プロジェクトなどお客様に寄り添い、サポートさせて頂きます。お気軽にお問い合わせください。